2014.10.28

リクルートワークス研究所に聞く
東京オリンピックは雇用に何をもたらすか?

提供:リクルートホールディングス

  2020年に迫った東京オリンピック。外国人観光客の増大、新たな公共交通機関やスポーツインフラの整備など、既に明るい話題で賑わっている。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の試算によれば、経済波及効果は約3兆円に上るという。

  経済と密接な関係にあるのが雇用だ。リクルートワークス研究所の推計によると東京2020オリンピックによる経済発展に伴い見込まれる人材ニーズは、約81.5万人(※)となり、これは総務省が発表する2012年の就業者数平均6,720万人の約1.3%にもあたる数字だという。国にも個人にも大きな影響をもたらすと考えられる雇用面の変化について、同研究所の中村天江氏に話を聞いた。

※各機関が発表する経済波及効果とロンドン2012オリンピックの事例を元に推計。オリンピック開催地が決定した2013年~オリンピック開催の2020年までに発生するであろう人材ニーズを算出した。
全国の産業別人材ニーズ:時系列(単位:人)
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東京オリンピックは、「人材難」の変革契機?

  中村氏が所属するリクルートワークス研究所は、人と組織の「新しいコンセプト」を提起する研究機関として、「採用動向」「人材マネジメント」「働く個人の意識」など、雇用にまつわる調査データの発表や提言発信を主な活動としている。

「東京オリンピックは日本全域に大きな影響を及ぼすため、リクルートワークス研究所として雇用に関するデータ予測を発表する、ということはオリンピックの開催決定直後から検討していた」

 と言う中村氏。リクルートワークス研究所は、2014年4月「東京オリンピックがもたらす雇用インパクト」という研究レポートを発表した。先に掲出した81.5万人の人材ニーズ、という数字もこのレポート内で算出されたものだ。

 当初の目的は、「人材ニーズにまつわるデータ予測を行う」ことだったが、最終的には本レポート内で雇用政策として検討すべきアジェンダの提言まで踏み込んでいる。その理由として、中村氏は「オリンピックは労働市場の変革の契機になりえる」という考えに至ったからだと続ける。

 81.5万人という人材ニーズは雇用創出というポジティブな見方ができる反面、長期的に人口減少が進み、すでに「人材難」といわれる日本においては大きな課題ともなり得る。「人材難」の日本にどのような風穴を開けることを、中村氏は変革契機と呼んでいるのだろうか。

リクルートワークス研究所 主任研究員 中村天江氏
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