会員限定記事会員限定記事

新世界ワインを堪能 南ア~「すぐに飲む」が流儀

「造ったら、すぐに飲む」

 日本から遠く離れた南アフリカを初めて旅した。金やダイヤモンドの産地として知られ、近年はワールドカップの開催でも注目を集めた南アフリカは、新世界ワインの生産量で世界一を誇るワイン大国でもある。生産者の息吹を感じようと、ケープタウン近郊にあるワイン・ランドと称される地域の中心都市「ステレンボッシュ」に2013年5月、足を運んだ。(時事通信社・舟橋良治)

 ステレンボッシュまでは、ケープタウンからバスで約1時間。シマウマの放牧場など田園風景を眺めていると、霧のかかった池のほとりに建つワイナリー「ゼーベンバッハ」の建物が見えてきた。

 このワイナリーは、現在のオーナーが1979年に2つの農園を買収し、本格的にワイン生産を開始。今ではレストランや宿泊施設、会議場まで備えた大規模ワイナリーだ。12種類のブドウを栽培し、赤9種類、白8種類、ロゼ1種類の計18種のワインを合計で年36万本生産している。

 醸造したワインの30%は主に欧州に輸出。長く熟成させる伝統的なスタイルの赤ワインも造っているが、主力は新世界ワインだ。

 テイスティングの際、新世界ワインと伝統的なワインの特徴について、ソムリエから説明を受けた。

 フランスなどの伝統的なワインは、渋みのあるタンニンを多く含み、食事との相性やバランスを考えて長く熟成させる。

 これに対して、米カリフォルニアやオーストラリア、チリといった新興の国々が主に醸造している新世界ワインは、「長くても2~3年で消費するのに適している。造ったら、すぐに飲む」(ワイナリー説明係)のが流儀で、深い味わいを楽しむというよりも、口当たりの良さが売り。熟成期間が短いため当たり外れが少ない。コストパフォーマンスも良いとあって、世界的に消費が拡大している。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ