「互譲互助」の精神の輪が継続して広がっていくことを期待する~ALSアイス・バケット・チャレンジで思ったこと~
『現代ビジネスブレイブ リーダーシップマガジン』---辻野晃一郎「人生多毛作で行こう」より過熱したALSアイス・バケット・チャレンジ
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に対する理解と支援を目的とした「ALS Ice Bucket Challenge」が世界的に大きな話題となりました。各界のたくさんの著名人がこのイベントに共鳴して、頭から氷水を被っている映像をSNSでシェアしています。
多彩なセレブ達が氷水を浴びる動画が次々と評判を呼んで、この運動は瞬く間に世界中に拡がり、短期間で日本円にして30億円を超える寄付が集まったようですし(現在進行形)、まさにネットやSNSの威力をまざまざと見せつけてくれたとともに、グローバルスケールでのバイラル・マーケティングの最大の成功事例の一つでもあると思います。また、このような助け合いの輪が世界中に広がっていくこと自体は実に素晴らしいことだと思います。
しかしながら、この運動の発案者といわれる若者が事故で亡くなったり、パフォーマンスが行き過ぎて死者や怪我人が出るなど、この運動を巡ってはさまざまな話題や議論も巻き起こっているようです。夏季の水不足が深刻な米国カリフォルニア州では、チャレンジへの参加は水の無駄遣いとして罰金を課すことにしたとの話も耳にしました。
先日、この順番が、あろうことか、私にも回って来てしまいました。ルールとしては、指名された人は、24時間以内に、氷水を頭から被るか、100ドルの寄付をするか、どちらかの選択をして、次に続く人を3名指名しなければならないことになっています。私は、氷水を被ることはせずに、おとなしく100ドルをALS Associationに寄付しました。そして、次に続く3人の指名も見合わせました。
理由はさまざまありますが、端的に言うと、すでに過熱気味に世界中が十二分に盛り上がっているなかで、さらに自分が今さら氷水を被りその映像をアップすることに、あまり価値や意義を感じなかったためです。次に続く3人を指名する、というルールも、チェーンメールやねずみ講のようで、指名する人達に余計な同調圧力を掛けるように感じたために、勝手ながら、私に繋がった分岐は私で終わりにすることとさせていただきました。
本当は、もっと気の利いた対応をしてこの運動の盛り上がりにも少しでも貢献できればオシャレなんでしょうが、自分としてもっとも誠実な対応は何かということを考えての結果です。オシャレと言えば、英国の俳優パトリック・スチュアートさんの対応(※)などはいかにも英国紳士らしいスマートなものです。サッカーのブラジル代表のネイマール選手が、ワールドカップで自分に怪我を負わせたコロンビアのスニガ選手を指名して因縁を水に流したのも爽やかで話題を呼んでいました。・・・・・・この続きは『現代ビジネスブレイブ リーダーシップマガジン』vol089(2014年8月27日配信)に収録しています。